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動画を作ることは決まった。けれど、実写で撮るのか、アニメーションにするのかが決まらない。

社内で候補を並べているうちに「モーショングラフィックス」という言葉が出てきて、調べてみたものの、見つかるのはソフトの使い方や作り方の解説ばかり。知りたいのはそこではない——そういう状態の方に向けて書いています。

この記事は、モーショングラフィックスを作る人ではなく、依頼する人のための記事です。ソフトの操作方法や制作テクニックは扱いません。代わりに、実写やキャラクターアニメーションと何が違うのか、どんな用途に向いていて何に向かないのか、依頼するときに何を決めておけばよいのかを整理しました。

名古屋でイラストとデザインを手がけている私たちアークデザインが、実際の制作実績とあわせて解説します。

モニターに表示した制作物の案を見ながら、社内で動画の企画を検討している様子。

モーショングラフィックスとは

静止した素材に動きをつける表現手法

モーショングラフィックスとは、文字・図形・イラスト・写真・ロゴといった「動かないもの」に動きをつけた映像表現を指します。英語の「motion(動き)」と「graphics(図像)」を組み合わせた言葉です。

実写動画のようにカメラで人や物を撮影するわけではありません。かといって、キャラクターが芝居をするアニメーションとも違います。すでにある「見せたいもの」に動きを与えて、伝わりやすくする手法だと考えると分かりやすくなります。

身近なところでは、次のような映像がモーショングラフィックスにあたります。

  • テレビ番組の冒頭に流れるタイトルロゴ
  • ニュースや情報番組で、数字やグラフが順番に出てくる図
  • 駅や商業施設のデジタルサイネージで流れている案内映像
  • 企業サイトに置かれている、サービスの仕組みを説明する短い動画

日常のあちこちで目にしている表現で、「見たことはあるが名前を知らなかった」という方がほとんどです。

「グラフィックモーション」「モーショングラフィック」と呼び方が揺れる理由

この分野は、日本語での呼び方が一定していません。

  • モーショングラフィックス(複数形)
  • モーショングラフィック(単数形)
  • グラフィックモーション(語順が逆)

社内の資料と制作会社の提案書で表記が違っていると、別のものを指しているのではないかと不安になります。

結論から言えば、これらはいずれも同じものを指していると考えて差し支えありません。 元の英語が motion graphics という複数形であること、日本語に取り込まれる過程で語順が入れ替わったことが、揺れの原因です。

一方で、注意したい言葉が「アニメーション」です。アニメーションはモーショングラフィックスを含む、もっと広い言葉として使われます。社内で「アニメーションで行こう」と決まっても、それが文字やロゴを動かす映像なのか、キャラクターが芝居をする映像なのかで、作業量も費用も大きく変わります。言葉ではなく「どういう映像か」で合意しておくことが、後の手戻りを防ぎます。

実写動画・キャラクターアニメーションとの違い

3つの形式を並べると、違いがはっきりします。

実写動画 モーショングラフィックス キャラクターアニメーション
画面に映るもの 実際の人・物・場所 文字・図形・イラスト・ロゴ 芝居をするキャラクター
得意なこと 質感・臨場感・実在する証明 情報の整理、目に見えないものの説明 感情移入、物語
必要になるもの 撮影・出演者・ロケ地・機材 構成と、画面に載せる素材 キャラクター設計と作画量
後から直すとき 撮り直しが必要 該当のカットだけ差し替えやすい 該当のカットを描き直す

どれが優れているという話ではありません。伝えたい内容によって、向き不向きが分かれるというだけです。「自社のサービスがどういう仕組みで動いているか」を伝えたいとき、実写ではカメラを向ける対象がありません。逆に「工場で働く職人の手つき」を伝えたいなら、絵にするより撮ったほうが早く、説得力もあります。

実写動画・モーショングラフィックス・キャラクターアニメーションの3つを横に並べ、それぞれの画面に何が映るかを図示した比較図。実写には人物と実在する物、モーショングラフィックスには文字とグラフと図形、キャラクターアニメーションには登場人物と吹き出しが映っている。

モーショングラフィックスでよく使われる動きの種類

実際の制作では、いくつかの定番の動きが組み合わされます。用語を覚える必要はありませんが、打ち合わせの場で「こういう感じ」と伝える手がかりになるので、代表的なものを挙げておきます。

ロゴアニメーション

会社やブランドのロゴが、数秒かけて画面に現れる動きです。動画の冒頭か末尾に置かれることがほとんどで、長さは2〜5秒程度。

一度作れば、その後のあらゆる動画に使い回せるのが特徴です。展示会の映像、採用説明会の動画、SNSの投稿。同じロゴの動きが繰り返し現れることで、見る側の記憶に残りやすくなります。

ロゴアニメーションの動きを3コマで示した図解。1コマ目で線が引かれ、2コマ目で図形が組み上がり、3コマ目で記号と社名がそろう流れ。

キネティックタイポグラフィ(文字を動かす)

文章やキャッチコピーそのものを動かす表現です。文字の大きさ、出てくる順番、消え方で、どこを強く伝えたいかを表します。

この表現が効くのは、音を出せない環境です。店頭のサイネージ、電車内のモニター、音声をオフにしたまま流れるSNSの動画。ナレーションが聞こえなくても、文字が順に出てくれば内容は伝わります。

キネティックタイポグラフィの動きを3コマで示した図解。1コマ目に一語だけが現れ、2コマ目で次の語が重なり、3コマ目で最後の一語だけが強調された状態でそろう流れ。

インフォグラフィック(数字・グラフを動かす)

売上の推移、シェア、アンケート結果といった数字を、グラフや図として動かす表現です。

紙の資料と決定的に違うのは、見る順番をこちらで決められる点です。資料では読み手が好きな場所から目を走らせますが、動画では「まずこの数字、次にこの比較」と順番に出すことができます。説明の筋道をそのまま画面に載せられるため、仕組みの紹介や実績の提示と相性がよい表現です。

インフォグラフィックの動きを3コマで示した図解。1コマ目はグラフの枠だけ、2コマ目で棒が順に伸び、3コマ目で注目させたい一本だけ色が変わる流れ。

トランジション(画面の切り替え)

場面から場面へ移るときの、つなぎの動きです。画面が滑る、図形が横切る、色が塗り替わる。

地味な要素ですが、ここが整っているかどうかで映像全体の印象が変わります。 話題の変わり目がはっきりするため、見る側は「いま章が変わった」と自然に理解できます。

トランジションの動きを3コマで示した図解。1コマ目が前の画面、2コマ目で図形が画面を横切り、3コマ目で次の画面に切り替わる流れ。

イラストに動きをつける

ここまでの4つは、図形・文字・グラフといった「記号」を動かすものでした。これに対して、描いたイラストそのものに動きをつけるという選択肢があります。

商品、店舗、働く人、目に見えない仕組み。実写では撮れないものを絵として描き起こし、その絵を動かす。同じ「モーショングラフィックス」でも、ここだけは制作会社によってできることが大きく変わります。この記事の後半で、テンプレート素材を使う場合との違いとしてくわしく扱います。

発注側から見たメリットと、向かないケース

情報量の多い説明を短時間で伝えられる

モーショングラフィックスがもっとも力を発揮するのは、言葉で説明すると長くなる内容です。

文章にすると資料3ページ分になる説明が、図と動きを使えば30秒程度で伝わることがあります。理由は2つあります。1つは、文字と図を同時に出せること。もう1つは、出す順番をこちらで設計できることです。

とくに効くのが、目に見えないものの説明です。

  • システムやサービスの仕組み
  • 契約や保険の内容
  • 工場や物流の工程
  • 導入前と導入後の変化

これらは実写で撮ろうとしても、カメラを向ける先がありません。パンフレットに書くと文字が多くなり、最後まで読んでもらえません。「見えないものを、見える形にする」という一点において、この手法は他の形式より明確に有利です。

撮影が不要なぶん、内容の差し替えに強い

撮影がないということは、出演者・ロケ地・天候・スケジュールの制約を受けないということです。この身軽さは、公開した後にも効いてきます。

料金が変わった、サービス名が変わった、実績の数字が更新された。実写であれば撮り直しになる場面でも、そのカットだけを差し替えて使い続けられる可能性があります。

ただし、これは制作したデータが残っていることが前提です。私たちの場合、納品後に修正箇所が見つかったときや、改変して流用したいというご相談も、アフターサポートとして承っています。依頼先を選ぶ段階で、納品後の改変に対応してもらえるかを確認しておくと安心です。

向かないケース①:人の表情や実物の質感を見せたいとき

一方で、モーショングラフィックスが向かない場面もはっきりしています。

料理のシズル感、生地の手触り、現場の空気、社員の表情。「本物であること」そのものが説得力になる内容は、実写のほうが確実に伝わります。

たとえば採用動画で「働いている人たちの雰囲気」を見せたいなら、絵にするより撮ったほうがよい場面が多くなります。絵は、描いた人の解釈が必ず入るためです。

向かないケース②:長い物語で感情を動かしたいとき

3分、5分と尺のある物語で、登場人物に感情移入してもらいたい。これはキャラクターアニメーションの領域です。

モーショングラフィックスは説明に強く、情に訴えるのは得意ではありません。 文字や図形は、感情を持たないためです。

ただし、これらは排他的な選択ではありません。前半をモーショングラフィックスで説明し、後半をキャラクターの芝居で締める、あるいは実写の中にイラストを差し込むといった組み合わせは、実際によく行われています。

まとめると、次のように整理できます。

伝えたいこと 向いている形式
仕組み・数字・サービスの流れ モーショングラフィックス
人の表情・実物の質感・現場の空気 実写動画
物語と、登場人物への愛着 キャラクターアニメーション
上のうち複数を1本に入れたい 実写とイラストの組み合わせ

どんな場面で使われているか

サービス・製品の説明

企業サイトのトップページや、サービス紹介ページに置かれる1〜2分の動画です。

営業担当者が毎回口頭で説明していた内容を映像にしておくと、商談の前に見てもらえます。 前提の共有が済んだ状態で打ち合わせが始まるため、話が本題から入れるようになります。展示会のブースで流したり、営業資料にQRコードで添えたりと、同じ1本を複数の場面で使えるのも利点です。

展示会・店頭のサイネージ

展示会や店頭のモニターには、音が出せない・立ち止まってもらえない・繰り返し流れるという3つの制約があります。

このため、ナレーションに頼らず文字と図で伝わること、数秒だけ見ても内容が分かること、ループ再生しても不自然でないことが求められます。モーショングラフィックスは、この3つの条件すべてに素直に応えられる形式です。

大型のサイネージの場合は、さらに視認距離の条件が加わります。画面が大きいぶん、遠くから見る人と、目の前を通り過ぎる人の両方に届く設計が必要になります。

テレビCM・Webの企業CM

15秒・30秒のCMでも、モーショングラフィックスは使われます。

実写のCMは、出演者・ロケ地・撮影日の確保が必要で、スケジュールが天候にも左右されます。イラストや図で構成する場合、そうした外部要因がありません。言いたいことを言い切る設計にしやすいのも、短い尺では大きな利点です。

採用・社内向けの説明動画

採用説明会で毎年同じ内容を説明している、新入社員研修で制度の説明に時間を取られている。こうした場面でも使われます。

制度や仕組みの説明は、まさにモーショングラフィックスが得意とする領域です。一度作れば翌年も使えて、変更があった箇所だけ差し替えられます。

SNS・Web広告

SNSやWeb広告でも、短尺のアニメーションは有効です。最初の数秒で見てもらえるかどうかが分かれ目になるため、導入の設計が特に重要になります。

この分野については、実際の制作事例をもとに別の記事でくわしく解説しています。あわせてご覧ください。

SNS時代に強いアニメーション広告とは?制作実績をもとに企業PRでの活用法を解説

アークデザインの制作実績

ここからは、私たちが実際に手がけた映像をご紹介します。いずれも絵を描き起こし、それに動きをつけた映像です。

名古屋駅開業140周年 デジタルサイネージ動画

名古屋駅の開業140周年を記念し、JRゲートタワー前のデジタルサイネージで放映された記念動画です。企画・構成・映像制作は株式会社ソアズロック様が担当され、私たちアークデザインはイラスト制作を担当しました。

明治から令和までの時代の移り変わりを、一人の少女の旅として描いた作品です。時代ごとに絵のタッチそのものを変えており、明治は繊細な和の絵画表現、昭和は懐かしさのある漫画風、平成はドット絵、令和は現代的なビジュアルへと切り替わっていきます。絵柄の変化そのものが、時間の流れを説明する仕掛けになっています。

大型サイネージは、通行する人が数秒だけ目にする媒体です。絵の変化だけで内容が伝わる構成が求められました。

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おべ工業様 CM(浮世絵×企業ブランディング)

愛媛県新居浜市に拠点を置き、クレーンや遊戯機械の製造を手がける、110年以上の歴史を持つおべ工業株式会社様のCMです。株式会社フラッグ様からのご依頼で、私たちは背景や人物の浮世絵制作を担当しました。

このCMの特徴は、音とアニメーションの掛け合わせにあります。浮世絵で描かれた人物が、音に合わせて表情を次々に変えていく。伝統的な絵のタッチと、現代的な動画編集が同居した映像になっています。

さらにこの映像とイラストは、おべ工業様の公式ホームページにも展開されています。 CMで興味を持った方がサイトを訪れたときに、同じテイストのビジュアルが迎える。動画とWebで世界観をそろえておくと、企業の印象が一本にまとまります。

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株式会社ソリトンシステムズ様 CM(浮世絵)

株式会社ソリトンシステムズ様のCMより。浮世絵のタッチで描いたビジュアル。

株式会社EXIDEA様からのご依頼で制作した、株式会社ソリトンシステムズ様のサービス「Soliton OneGate」を紹介するCMです。

ITサービスという、実写では映すものがない題材を浮世絵のビジュアルで表現しました。機能を並べて説明するのではなく、トラブルが起きた場面に主人公が現れて解決する——という筋立てにすることで、導入したときに得られる「安心感」を目に見える形にしています。単発ではなくシリーズ作品として展開しており、回を重ねるほどキャラクターとサービスが結びついて記憶されます。

この案件では、イラスト制作から動画編集までを社内で一貫して担当しました。 絵を描く工程と映像にする工程が同じ社内にあると、ビジュアルの意図をそのまま映像へ持ち込めますし、制作途中での方向転換もつなぎやすくなります。

完成したCMは、Webのほか、ゴルフ場やタクシーなど幅広い場所で配信されています。

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名古屋トヨペット様 CM(イラストと実写の融合)

「新型ハリアーを探せ!CM」では、コピックマーカーで描かれた一台の車が、絵の世界から飛び出して実写の街並みを走り出します。

手描きならではの色ムラをあえて残して温かみを出し、描かれたロゴが実写の外壁に貼り付いて溶け込む演出を加えました。ラストでは、車に描かれていたロゴたちが舞い上がり、実写の車へと変わります。

実写かイラストかを選ぶ、という前提そのものを外した事例です。実物を見せたい部分は実写で、遊び心や世界観を出したい部分はイラストで。 この組み合わせは、他社との差をつけたいときに有効な選択肢になります。

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このほかの映像作品も、実績記事でまとめてご覧いただけます。

CMにPV、MVも!イラスト動画制作にお困りの方におすすめ!アークデザインの動画制作!

テンプレート素材で作る場合と、絵から起こす場合の違い

ここまで「モーショングラフィックス」と一括りに書いてきましたが、同じ言葉でも、制作の中身は大きく2つに分かれます。 見積りを比べたときに金額が何倍も違う、という場面に出くわすことがあります。その差の多くは、ここから生まれています。

素材サイトのテンプレートでできること・できないこと

ひとつは、素材サイトで販売されているテンプレートを使う方法です。あらかじめ動きが作り込まれたデータを購入し、そこに自社のロゴ・文字・色・写真を差し替えて仕上げます。

この方法には、はっきりした利点があります。

  • 早い。 動きを一から設計する工程がないため、短期間で仕上がる
  • 安い。 制作費を抑えられる
  • 仕上がりが読める。 完成形が先に見えているため、社内で承認を取りやすい

急ぎの告知、社内向けの説明、期間限定のキャンペーン。目的がはっきりしていて、予算と納期が最優先という場面では、テンプレートは合理的な選択です。

一方で、できないこともあります。

  • 自社にしかないものが画面に出てこない。 出てくるのは、汎用的な図形・アイコン・イラストです。自社の商品、店舗、設備、働く人は登場しません
  • 同じ動きの映像が、他社にも存在しうる。 テンプレートは誰でも購入できます
  • 内容を構成に合わせることになる。 本来は「伝えたいこと」に合わせて画面を設計しますが、テンプレートを使う場合は、用意された構成に伝えたいことを収めていく順序になります
  • 大きな修正がしにくい。 カットを1つ増やす、尺を伸ばすといった変更が、元の設計の制約を受けます

オリジナルの絵から起こすと何が変わるか

もうひとつが、画面に載せる絵そのものを描き起こす方法です。

ここが、私たちのようなイラスト制作を本業とするデザイン会社が関わる領域です。順序が逆になります。まず伝えたいことがあり、それを伝えるために必要な絵を描き、絵に動きをつける。

具体的に何が変わるのか、4つ挙げます。

1. 実写でも既製素材でも出せないものが画面に出せる

自社の工場の内部、製品の断面、サービスが動く仕組み、数年後の完成予想。撮影できないもの、まだ存在しないものを、そのまま画面に載せられます。汎用アイコンで「なんとなくそれらしく」示すのとは、伝わり方が変わります。

2. 絵のタッチ自体が、会社の資産になる

描き起こした絵は、その動画だけのものではありません。静止画としてWebサイト、パンフレット、看板、名刺、SNSへ展開できます。 動画を作った結果として、会社のビジュアルが一式そろう。この見え方は、テンプレートでは手に入りません。

3. 続きを作れる

一度キャラクターや世界観を作ると、2本目・3本目を同じ世界観で作れます。前述のソリトンシステムズ様のCMをシリーズとして展開しているのは、この効果を狙ったものです。

4. 修正の自由度が高い

絵をパーツごとに分けて制作しているため、「この人物の表情だけ変えたい」「背景の季節を変えたい」といった調整に対応しやすくなります。

もちろん、費用と期間はテンプレートより確実にかかります。 絵を描く工程が丸ごと加わるためです。どちらが正しいという話ではなく、この動画に独自性が必要かどうかで決める話だと考えてください。

判断に迷ったときは、見積りを依頼する際に一言、「この動画に使うイラストは、既製の素材ですか、描き起こしですか」と聞いてみてください。金額差の理由がはっきりします。

浮世絵アニメーションという選択肢

私たちの場合、描き起こしの選択肢のひとつとして、浮世絵のタッチによるアニメーションをご用意しています。前述のおべ工業様やソリトンシステムズ様のCMのほか、油そば歌志軒様のPV(イラスト制作とディレクションを担当)、東映太秦映画村「バーチャル中村座」のVR・3D映像向け背景イラストなど、映像向けの制作実績があります。

他社と正面からぶつからない見た目になること、海外に向けて日本発であることが言葉なしで伝わることが、選ばれる理由になっています。

浮世絵そのものの魅力と、現代の広告での使われ方については、別記事でくわしく解説しています。

浮世絵がかっこいい7つの理由|プロが解説する魅力分析と現代活用事例

制作の流れと、各段階で発注側が決めること

制作の工程そのものは、多くの制作会社でおおむね共通しています。ヒアリング、お見積り、ご提案・ラフ制作、本制作、修正・校正という流れです。私たちの工程の詳細はアニメーション動画制作のページにまとめていますので、そちらをご覧ください。

ここでは工程の説明ではなく、各段階で発注する側が何を決めることになるのかを整理します。ここを先回りしておくと、制作期間そのものが短くなります。

相談の前に決めておくと早い3つ(目的・尺・掲出先)

「まだイメージが固まっていないのですが」という段階でご相談いただいて構いません。 ただ、次の3つだけは、決まっているかどうかで初動の速さがまったく違います。

決めておくこと なぜ必要か
目的 認知を広げたいのか、問い合わせを増やしたいのか、社内で説明を省きたいのか。目的が違えば、同じ題材でも構成が変わります
尺(長さ) 15秒と3分では、作業量も費用も別物です。掲出先に制限がある場合は特に先に確認が必要です
掲出先 テレビ、Web、SNS、展示会、店頭サイネージ。音が出せるか、画面の縦横比はどうか、何秒で通り過ぎるかが、ここで決まります

とくに掲出先は見落とされがちです。「作ってからSNSにも使いたいと分かった」という場合、縦型への作り直しが発生することがあります。使う可能性のある場所は、最初にすべて挙げておいてください。

ラフ・絵コンテの段階で必ず確認すること

制作会社から、ラフや構成案が提出される段階があります。ここが、発注側にとって最も重要な工程です。

この時点で確認しておきたいのは、次の点です。

  • 伝えたいことが、この構成で伝わるか(社内の決裁者にも、この段階で見てもらう)
  • 絵柄・色の方向性が、会社のイメージと合っているか
  • 文字やナレーションの内容に、事実と違う点がないか
  • 商品名・サービス名・数値の表記が正しいか

社内の確認は、ラフの段階でまとめて通してください。 本制作が終わってから上長の意見が入り、根本からやり直しになる——これが、動画制作でもっとも起きやすく、もっとも損失の大きい事故です。

本制作に入ると変更が効きにくい理由

ラフに承認をいただいた後、絵が描かれ、動きがつけられていきます。この段階に入ると、構図や絵柄の変更は難しくなります。

理由は単純で、1つのカットを変えると、その前後のつながりも作り直しになるためです。文字の修正や軽い調整と、構成そのものの変更では、必要な作業量がまったく違います。

私たちも、本制作が始まると修正が難しくなるため、ラフ制作の段階で修正のご依頼をいただくようお願いしています。 これは意地悪でそうしているのではなく、後戻りの費用と時間をお客様に負担していただかないための順序です。

机に広げた資料を複数人で指し示しながら、ラフや絵コンテの内容を確認している様子。

費用と期間の考え方

金額が変わる5つの条件

「モーショングラフィックスはいくらか」という質問に一言でお答えするのは難しいのが正直なところです。同じ30秒でも、内容によって作業量が何倍も変わるためです。私たちの場合、お見積りは次の5つの条件で変わります。

条件 何が変わるか
ストーリーの内容 構成の作り込み、カットの数
尺(長さ) 描く絵の量、動きをつける量
イラストの複雑さ 描き込みの密度、登場する要素の数
使用範囲 Webのみか、テレビCMを含むか、期間はどれくらいか
納期 短納期の場合、体制を厚くする必要があります

見落とされやすいのが使用範囲です。「Web用に作ったが、後からテレビCMでも使いたくなった」という場合、当初の条件と変わるため、あらためて確認が必要になります。使う可能性のある媒体は、見積りの段階で伝えておいてください。

期間の目安

期間についても、内容によって幅があります。私たちの目安は次のとおりです。

動画の長さ 期間の目安
数秒程度のショート動画 やり取りを含めて約1〜2ヶ月
15秒以上の尺 3ヶ月〜最長で半年ほどいただくケースもあります

お見積りの提示自体は、通常1〜3営業日でご返答しています。

展示会や周年記念など、公開日が動かせない予定がある場合は、逆算するとかなり早い時期に動き始める必要があります。 できるだけ早い段階でご相談ください。

修正回数と著作権の扱いは、見積り時に確認しておく

社内で稟議を通すときに、必ずと言っていいほど聞かれる2点です。制作会社によって条件が違うため、契約前に確認しておくことをおすすめします。

修正回数

私たちの場合、基本的には2回までとさせていただいていますが、ご納得いただけるまで柔軟に対応しています。簡単なお直しは無料で対応し、お客様都合による大幅な変更や描き直しについては、別途修正費用をいただく場合があります。

著作権

私たちの場合、著作権は基本的に弊社に帰属します。譲渡をご希望の場合は、条件に応じてお見積りいたします。「自社で自由に改変して使いたい」という前提がある場合は、この点を最初に伝えておいてください。 後から条件が変わると、金額も変わります。

見積り依頼で伝えると精度が上がる項目

お見積りをスムーズに、かつ精度高くお出しするために、次の情報をご用意いただけると助かります。

  • 依頼内容
  • 依頼の目的
  • 納期
  • ご予算
  • 参考イメージ(こういう雰囲気にしたい、という映像や画像)
  • 人物を描く場合は、モデルとなる方のお写真

「ご予算は伝えないほうがよいのでは」と考える方がいますが、逆です。 予算を先にお伝えいただくと、その範囲で何ができるかを組み立ててご提案できます。伝えずに進めると、実現できない前提で話が進み、お互いの時間を使うことになります。

依頼前のチェックリスト

最後に、相談する前の整理用としてまとめておきます。すべてが決まっている必要はありません。 決まっていなくてよいことのほうが、実は多いのです。

項目
決めておきたいこと 動画の目的(誰に何を伝え、どうなってほしいか)
掲出先(テレビ・Web・SNS・展示会・店頭など、使う可能性のある場所をすべて)
尺の目安、または掲出先の制限
公開したい時期(動かせない予定があるか)
予算の目安
社内で誰が最終承認するか
決まっていなくてよいこと 絵柄・タッチ
構成、ストーリー、カット割り
具体的な演出やナレーションの文言
参考になる映像(あれば早いが、なくても進められます)

イメージが固まっていない段階でも問題ありません。構成から演出まで含めてご提案できます。 むしろ、目的と掲出先さえ決まっていれば、そこから先は一緒に考えていける部分です。

まとめ

この記事の内容を振り返ります。

論点 押さえておきたいこと
何か 文字・図形・イラストなど、静止した素材に動きをつけた映像表現
呼び方 「グラフィックモーション」「モーショングラフィック」も同じものを指す
向くもの 仕組み・数字・目に見えないものの説明
向かないもの 実物の質感、人の表情、長い物語での感情表現
費用の差 既製のテンプレートを使うか、絵から描き起こすかで大きく変わる
決めておくこと 目的・尺・掲出先の3つ。とくに掲出先はすべて挙げる
確認のヤマ場 ラフ・絵コンテの段階。社内承認もここで通す

動画の形式は、好みで選ぶものではありません。伝えたい内容と、見られる場所によって決まります。 ここが決まっていれば、あとは制作会社と一緒に組み立てていけます。

アークデザインのアニメーション動画制作について

私たちアークデザインは、名古屋を拠点に20年以上にわたって、企業・店舗のデザイン制作に携わってきました。もともとイラスト制作を本業としてきた会社であり、そこから動画制作へと領域を広げてきた経緯があります。

パソコンの画面を指しながら、制作について相談している様子。

アニメーション動画制作

キャラクターアニメ、和風・浮世絵、動くイラスト、実写とアニメの組み合わせ。4つのテイストからご提案しています。 制作実績、制作の流れ、よくあるご質問(料金・修正回数・著作権・期間)は、サービスページにまとめています。

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イラスト制作

似顔絵・キャラクター、オリジナルイラスト、浮世絵イラスト、書き文字。動画に使う絵を、そのまま名刺・看板・パンフレット・Webへ展開できるのが、イラストを本業にしている会社の強みです。動画をきっかけに、会社のビジュアルを一式そろえたいというご相談も承っています。

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「そもそも動画でよいのか」という段階でも

課題は見えているけれど、動画を作るべきかどうかから迷っている。そうした段階からのご相談も承っています。

伝えたい相手、達成したいこと、これまでの経緯をお聞きしたうえで、そもそも何を作るべきかから一緒に考えます。デザインを単発の制作物としてではなく、事業の課題を解決する手段として設計する取り組みです。

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