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採用サイトは去年リニューアルした。求人媒体にも出している。けれど、合同説明会の会場で学生に渡すものがない。会社案内を配ってみたものの、手応えがなかった——。

そういう状態から「採用パンフレットを作ろう」という話が出てきます。ところが検討を始めると、決めることが次々に出てきます。何ページにするのか。何を載せるのか。写真はどうするのか。誰が原稿を書くのか。いくらかかるのか。

この記事は、採用パンフレットを作る人ではなく、依頼する人のための記事です。デザインソフトの使い方やレイアウトの技法は扱いません。会社案内と何が違うのか、載せる内容をどう決めるのか、各段階で何を決めることになるのかを整理しました。名古屋でイラストとデザインを手がけている私たちアークデザインが、紙面を作る側から解説します。

会議室で複数人が資料を前に、採用ツールについて話し合っている様子。

採用パンフレットとは

営業用の会社案内とは目的が違う

採用パンフレットとは、入社を検討している人に向けて会社と仕事を紹介する冊子です。「会社案内を配ればいい」と考える会社は少なくありませんが、この2つは読む人も、読まれる場面も、決めてほしいことも違います。

会社案内の読み手が知りたいのは「この会社と取引して大丈夫か」です。だから事業規模、実績、取引先、技術力といった信用に関する情報が中心になり、商談の席で説明を受けながら読まれます。

採用パンフレットの読み手が知りたいのは、まったく別のことです。「この会社で働く自分が想像できるか」。仕事の中身、一緒に働く人、1日の過ごし方、入社後に何ができるようになるか。そして読まれるのは、説明会から帰ったあと、自宅で一人きりのときです。

説明者がいない場所で、単独で読まれる。 これが採用パンフレットの最大の条件です。会社案内を配って手応えがないのは、この「一人で読まれる」前提で作られていないからです。

採用リーフレット・入社案内・採用冊子の呼び分け

この分野は、呼び方が一定していません。 社内の稟議書と制作会社の見積書で言葉が違い、話がかみ合わないことがあります。

  • 採用パンフレット/採用冊子 — 複数ページを綴じたもの
  • 採用リーフレット — 折り加工をした1枚もの。綴じない
  • 入社案内(入社案内パンフレット) — 内定者や入社直前の方に渡す想定で使われることが多い
  • リクルートブック — 採用パンフレットとほぼ同義

業界で統一された定義はありません。 制作会社に相談するときは名前で決めようとせず、「何ページか」「綴じるか折るか」「誰にいつ渡すか」の3点で握るのが確実です。

折り加工の1枚ものは、綴じる冊子より低コストで面数を増やせます。判型で迷われている場合は、こちらもご覧ください。

持ち歩きにも便利!サイズも加工もご希望にそった形で臨機応変にご対応できます

3つの紙面の性格をまとめます。

会社案内 採用パンフレット 採用リーフレット
読む人 取引先・見込み客 入社検討者とその家族 同左。関心が浅い段階の人
知りたいこと 取引して大丈夫か ここで働く自分が想像できるか どんな会社か、ざっくり知りたい
読まれる場面 商談の席。説明を受けながら 説明会の後、自宅で一人で 会場で受け取ってその場で
中心になる情報 実績・規模・技術・取引先 仕事の中身・人・数字・募集要項 事業の要約と、次に見てほしい場所
寿命 数年 数字と人が変わるため短い 同左

とくに寿命は見落とされがちです。採用パンフレットには従業員数、初任給、社員の顔写真といった変わるものが載ります。「何年使う冊子か」を先に決めておくと、以降の判断がすべて楽になります。

新卒採用と中途採用で変わること

同じ採用パンフレットでも、新卒向けと中途向けでは中身が変わります。

新卒採用向けの読み手は業界そのものを知らないことが多く、「何をしている会社か」から説明する分量が要ります。本人以外が読む割合が高いのも新卒の特徴で、事業の安定性や所在地といった情報も効いてきます。

中途採用向けの読み手は、業界も仕事も分かっています。知りたいのは、配属先、任される範囲、評価のされ方、入社後の立ち上がり方。分量は少なくて済みますが、具体性が要ります。「風通しの良い社風」といった抽象的な表現は、ほとんど届きません。

1冊で両方を兼ねると、どちらにも刺さらなくなります。 予算の都合で1冊にするなら、どちらを主にするかを決め、もう一方は採用サイトやリーフレットに寄せる分け方が現実的です。

採用サイト・採用動画がある時代に、なぜ紙が要るのか

その場で手渡せて、持ち帰ってもらえる

採用サイトがあるなら紙は要らないのではないか——当然出てくる疑問です。紙にしかできないのは、その場で手渡せて、持ち帰ってもらえることです。

合同説明会の会場で、学生は1日に何社もの話を聞き、帰る頃にはどの会社の話だったかが混ざり始めます。「サイトを見ておいてください」と伝えても、帰宅後に開いてもらえる保証はありません。

手元に物が残っていると、説明会で聞いた内容を思い出す手がかりになります。 カバンから出てきた冊子を見て「ああ、この会社だった」と記憶がつながる。URLでは代替できません。

本人以外が読む

もうひとつ紙が効くのが、本人以外が読むときです。新卒採用なら家族が、中途採用なら配偶者が、渡された冊子を見ることがあります。この読み手が自分から採用サイトを検索することはまずありません。渡された紙だけが、その人に届く唯一の情報になります。

だからこそ、本人が面接で質問しにくいこと——事業の安定性、拠点の場所、休みの取り方、転勤の有無——を、紙面に静かに置いておく意味があります。

紙・Web・動画の役割分担

採用ツールは、それぞれ得意なことが違います。役割で分けると、どれを作るべきか整理できます。

ツール 得意なこと
採用パンフレット 手渡す。持ち帰ってもらう。本人以外にも届く
採用サイト 自分から調べてきた人に、深く読んでもらう。内容を更新できる
採用動画 雰囲気と人の様子を、短時間で伝える

紙は更新できませんが渡せます。Webは渡せませんが更新できます。どちらか一方ではなく、役割を分けて両方を用意するのが基本形です。

私たちの場合、採用サイトの制作も手がけています。福井郵便逓送様の採用サイトでは、オリジナルキャラクター「ペンテイ」くんをナビゲーターとして配置し、トラックのラッピングとも世界観をそろえました。紙とWebで見た目の軸をそろえると、受け取った側が「あの会社だ」と認識しやすくなります。

採用サイト制作で会社の魅力を伝える|キャラクター活用によるオリジナルブランディングの例

動画についてはアニメーション動画制作のページにまとめています。

採用パンフレットに載せる内容

採用パンフレットの中身は、必ず入れるもの、判断が分かれるもの、「入れたつもりで伝わっていない」ものの3つに分かれます。

必ず入れる:事業内容・仕事の中身・数字

どんな会社でも外せないのが、この3つです。

事業内容

「何をして、誰からお金をもらっているか」を、業界を知らない人に分かる言葉で書きます。ここが曖昧だと、以降のページがすべて浮きます。

ここでよく起きるのが、社内で通じる言葉をそのまま使う事故です。「〇〇ソリューションの提供」といった表現では、外から何をしているのか分かりません。商品やサービスが最終的に誰の手に渡り、どう使われているのかまで書くと、一気に伝わります。

仕事の中身

採用パンフレットで最も読まれる部分です。職種ごとに、1日に何をするのか、誰と関わるのか、入社後どんな順番でできることが増えるのかを書きます。「営業職」「技術職」という職種名だけでは何も伝わりません。読み手が想像したいのは、月曜の朝9時に自分が何をしているかです。

数字

従業員数、平均年齢、新卒の配属実績、有給休暇の取得日数、平均勤続年数、拠点数、初任給。数字は、文章よりも速く伝わります。

ただし、数字には基準日が必要です。「2026年4月1日現在」のように明記してください。パンフレットと採用サイトと求人媒体で数字が食い違うと、それだけで信用を落とします。

募集要項と、次にしてほしい行動

意外なほど抜けやすいのがここです。募集職種、勤務地、応募方法、問い合わせ先、選考の流れ。そして「次に何をしてほしいのか」を1か所に明示します。これがない冊子は、読まれて終わります。

判断が分かれる:社員の声・1日の流れ・キャリアパス

次の4つは、入れれば効くが、手間と寿命の問題があるものです。

項目 効くところ 気をつけるところ
社員の声 読み手が最も自分を重ねやすい 人選・取材・撮影・本人確認の工程が増える。退職すると使えなくなる
1日の流れ 仕事の中身が具体的に伝わる 全職種分は入らない。代表的な職種に絞る
キャリアパス 中途に強く効く。新卒にも「3年後の自分」が見える 実際の昇進・配属の運用と食い違うと、入社後の不信につながる
福利厚生の一覧 条件面の比較材料になる 全部載せると読まれない。他社にないものだけに絞る

社員の声は、「何年使う冊子か」とセットで考えてください。3年使う冊子に入社2年目の社員を大きく載せると、その方が退職した時点で刷り直しの判断を迫られます。

入れたつもりで伝わっていない:理念・沿革

社内で最も「入れよう」という声が上がり、読み手が最も飛ばすのが理念と沿革です。理念が不要なのではなく、文言だけを大きく載せても伝わらないということです。「誠実」「挑戦」「お客様第一」——どの会社にも載っている言葉で、読み手からは区別がつきません。

伝わる形にするなら、その理念がどの仕事のどの判断に出ているかを1つ書き添えてください。「納期より品質を優先すると決めたので、この案件ではこう動いた」という具体例が1つあるだけで、同じ理念がまったく違う重さで届きます。沿革も同じで、年表を並べるより「なぜ今の事業になったのか」を短くまとめたほうが読まれます。

載せる前に社内で確定させておくこと

原稿を書き始める前に、社内で決着させておくことがあります。未確定のまま進むと、ラフの段階で必ず止まります。

決めること 誰が決めるか いつまでに
募集職種と募集人数 人事・経営 相談前
数字の基準日と出どころ 人事・総務 原稿作成前
社員の顔写真・実名の掲載可否(本人の同意) 人事+本人 撮影前
社名・部署名・肩書の正式表記 総務 原稿作成前
掲載する制度に改定予定があるか 人事 原稿作成前
最終承認者は誰か 経営 相談前

とくに最終承認者を先に決めておいてください。 終盤になって、それまで関わっていなかった役員から根本的な指摘が入る——紙面制作でもっとも損失の大きい事故です。

ページ構成の決め方

ページ数から決めない。伝える順番から決める

「16ページくらいで」と先に決めてから中身を考えると、ページを埋めるための情報が入ってきます。先に決めるのは伝える順番です。読み手の関心は、だいたい決まった順序で動きます。

1. この会社は何屋なのか(事業内容)

2. 自分は何をすることになるのか(仕事の中身)

3. どんな人が働いているのか(社員・職場)

4. 条件はどうなっているのか(数字・制度・募集要項)

5. 次に何をすればいいのか(応募方法・問い合わせ先)

この順番を崩すと、読み進めてもらえません。よくあるのが、1の前に理念と社長挨拶で2ページを使うパターンです。読み手は「何屋か」を知らないまま理念を読まされます。

採用パンフレットの構成を5段階の流れで示した図解。「この会社は何屋か」「自分は何をするのか」「どんな人がいるのか」「条件はどうか」「次に何をすればいいのか」と矢印でつながり、それぞれの下に対応する誌面の要素が並んでいる。

8ページ・12ページ・16ページで何が変わるか

冊子のページ数は、4の倍数が基本です。紙を折って綴じるためで、「10ページ」「14ページ」という指定は原則できません。入る内容の目安は次のとおりです。

ページ数 入る内容の目安
8ページ 事業内容・仕事の中身(1職種)・社員1〜2名・数字・募集要項。職種が1つなら足りる
12ページ 上記に加えて、職種を2〜3に分けられる。社員の声を2〜3名
16ページ さらに1日の流れ、キャリアパス、研修制度、数字を見開き1面で見せる余裕が出る

ページ数が多いほど良い、ということはありません。 ページが増えれば読み手は最後まで到達しにくくなり、印刷費も上がります。「読み手が必要とする情報が何ページ分あるか」で決めてください。

採用パンフレットの台割を8ページ・12ページ・16ページの3パターンで並べた図解。各ページに入る要素がマス目で示され、ページ数が増えるにつれて職種・社員の声・1日の流れ・キャリアパスが点線で追加されていく。

判型は、A4が主流です。持ち歩いてもらいたいならA5でも成立します。綴じずに折り加工で面数を増やす方法もあり、ページ数の多い冊子より低コストに収まります。 紙質・サイズ・加工の選択肢は印刷のページにまとめています。

ページ数の多い冊子は、見開き単位で誌面を考えることになります。この点はこちらの記事でも触れています。

パンフレットもアークデザインにお任せください

表紙で決まること

表紙が決めるのは、開いてもらえるかどうかです。合同説明会で受け取った資料は机の上に積み重なります。その中から手に取られるか、そのまま置かれるか。

社名とロゴだけの表紙は、他社と区別がつきません。 会社案内ならそれで成立しますが、採用パンフレットは「格」を示すものではなく、「中を見てみたい」と思わせるためのものです。

表紙に必要なのは、次の3点だけです。

  • 誰に向けたものか(「2027年度 新卒採用」など)
  • 何をしている会社かが、ひと目で見当がつくこと
  • 社名

凝ったビジュアルにする必要はありません。ただ、表紙を見ただけでは何の会社か分からない状態だけは避けてください。

写真で作るか、イラスト・マンガで作るか

採用パンフレットの印象を最も大きく左右する判断です。発注の段階で決めておくと制作が速く進むのもここです。

写真が向くとき、撮れないとき

写真の強みは、実在することの証明です。その職場が本当にあり、その人が本当に働いていること。「本物であること」自体が説得力になる内容は、撮ったほうが確実に伝わります。

一方で、写真が撮れない場面もはっきりしています。

  • 現場に入れない — クリーンルーム、顧客先、警備区域、夜間の作業
  • 撮影の時間が取れない、人が偏っている — 繁忙期で稼働を止められない、若手が少ない
  • 顔出しの同意が取れない — 本人が難色を示す、退職の可能性がある
  • まだ存在しない、目に見えない — 新拠点、来年から始まる事業、システム、保守、管理部門

このうち1つでも当てはまるなら、イラストを検討する価値があります。

イラストにすると変えられること

紙面をイラストで作ると、写真では動かせない条件が動きます。順に挙げます。

1. 個人が特定されない

描かれるのは特定の誰かではないため、社員が退職しても使い続けられます。 顔出しの同意を取る工程もなくなります。

2. 目に見えない仕事や、まだ存在しないものを描ける

システムの動き、物流の流れ、保守の現場。来年稼働する新工場、これから始まる事業。カメラを向ける先がないものでも、図と絵にすれば伝わります。事務職や管理部門の紹介が毎年薄くなる、という会社にとくに効きます。

3. 見せ方の程度を調整できる

ここは注意が要る点でもあります。イラストは、実態から離れた「きれいな職場」も描けてしまいます。入社後に「話が違う」となるのが、採用ツールで最も避けたい事態です。

もうひとつ、全編をイラストにすると実在感が落ちます。 現実的なのは併用です。人と現場は写真、仕組みや流れや1日の過ごし方はイラスト。この組み合わせが、多くの会社にとって扱いやすい形です。

採用パンフレットの誌面要素を、写真が向くものとイラストが向くものに分けて対比した図解。写真側には社員の表情・現場の空気・設備・製品、イラスト側には仕事の流れ・目に見えない業務・1日のスケジュール・まだ存在しない拠点が並んでいる。

私たちはもともとイラスト制作を本業としてきた会社で、紙面にイラストを組み込む制作を多く手がけてきました。有限会社矢野電気様の企業パンフレット(営業用の会社案内で、採用向けではありません)では、表裏が電気コードでつながったデザインに仕上げ、オリジナルキャラクターも登場させています。

鈴鹿の電気工事会社、有限会社矢野電気様の企業パンフレットを制作させていただきました

質たから屋様の企業パンフレット(こちらも採用向けではありません)でも、「質・買取」というなじみの薄いサービスを、イラストと1〜3のステップ方式で説明しました。説明が難しい内容ほどイラストが効くという点は、採用パンフレットの「仕事の中身」にもそのまま当てはまります。

立川の地で60年 質たから屋様 高級感のあるパンフレット

マンガを入れるという選択肢

イラストをさらに進めた選択肢が、マンガです。採用パンフレットには、文章では読まれにくい内容があります。先輩と新人のやりとり、入社1年目に何ができるようになったか、現場でトラブルにどう対応したか。説明文にすると抽象的になり、読み飛ばされます。

マンガにすると、読み手は順番どおりに、最後まで読みます。 コマがあるだけで目が自然に流れるためです。

ただし、ページを食います。 現実的なのは2〜4ページの読み切りを1本だけ入れる使い方です。全編マンガにすると、条件面を載せる場所がなくなります。

私たちにも、マンガを紙面に入れた実例があります。株式会社ALIVE様の格闘技道場の8つ折りパンフレットです。こちらは道場の紹介用に制作したもので、採用パンフレットではありません。 折り加工の1枚ものにマンガを組み込むとどうなるか、という点で参考になります。

格闘道場 漫画付き8つ折りパンフレット

キャラクターを立てて、採用ツール全体で使い回す

イラストを入れると決めたなら、もう一歩踏み込む選択肢があります。自社のキャラクターを1つ作ってしまうという方法です。採用パンフレットの案内役、採用サイト、説明会のスライド、ノベルティ、SNS、社用車と、使える場所が一気に増え、採用ツールの見た目が一本にそろいます。

前述の福井郵便逓送様の採用サイトでは、キャラクター「ペンテイ」くんがサイト内を案内し、会社のトラックのラッピングとも軸をそろえています。同じキャラクターが複数の媒体に登場することで、「あのトラックの会社だ」と結びつきやすくなります。

キャラクターそのものの作り方、費用、依頼の流れは、別記事でくわしく解説しています。

企業キャラクターの作り方と活用術がわかる!メリット・デメリット・費用・依頼フローまで徹底解説

制作の流れと、各段階で発注側が決めること

制作の工程は、多くの制作会社でおおむね共通しています。お問い合わせとお見積り、ご提案・ラフ制作、本制作・確認、修正・校正という流れです(詳細はデザイン紹介のページにまとめています)。

ここでは工程の説明ではなく、各段階で発注する側が何を決めることになるのかを整理します。先回りしておくと、制作期間そのものが短くなります。

相談の前に決めておくと早い3つ(配布先・部数・渡す場面)

「まだ何も決まっていないのですが」という段階でご相談いただいて構いません。 ただ、次の3つは決まっているかどうかで初動の速さが違います。

決めておくこと なぜ必要か
配布先 新卒か中途か、業界経験者か未経験者か。読み手が変われば、載せる内容も分量も変わります
部数 説明会で配る数、学校に置く数、選考中に手渡す数、予備。印刷費は部数で大きく動きます
渡す場面 説明しながら渡すのか、置いておくのか。説明者がいるかどうかで構成が変わります

部数は、刷る数が増えるほど1冊あたりの単価が下がります。ただし内容が古くなれば残りはすべて使えません。「安くなるから多めに」と決める前に、何年使う冊子かを確かめてください。

渡す場面も見落とされがちです。担当者が横について説明するなら、文字量を抑えて記憶の手がかりに徹する作りにできます。机に置いておくだけなら、単独で完結して読める構成が要ります。

原稿とラフの段階で確認すること

制作会社から、ラフ(誌面の設計図)と原稿が提出されます。ここが、発注側にとって最も重要な工程です。 確認しておきたいのは次の点です。

  • 伝えたいことが、この順番と分量で伝わるか
  • 数字が正しいか(基準日と出どころを照合する)
  • 社名・部署名・肩書・製品名の表記が正式か
  • 制度の説明が現在の運用と食い違っていないか
  • 掲載する社員本人の同意が取れているか
  • 募集要項と問い合わせ先に誤りがないか

そして最も大事なのが、社内の確認をこの段階でまとめて通すことです。人事だけでなく、経営層、現場の責任者、必要なら法務まで。本制作の後に根本的な指摘が入ると、構成からやり直しになります。

私たちも、本制作が始まると修正が難しくなるため、ラフ制作の段階で修正のご依頼をいただくようお願いしています。 後戻りの時間と費用をお客様に負担していただかないための順序です。

原稿を誰が書くかも、ここまでに決めておいてください。社内で書くのか、制作会社が取材して書くのか。曖昧なまま進むと、制作が最も長く止まります。

打ち合わせの席で、机に広げた資料を指し示しながらラフを確認している様子。

撮影・取材が必要になる場合の進み方

社員の声や職場の写真を入れる場合、次の工程が加わります。

1. 人選 — 誰に出てもらうかを決める(部署・年次のバランス)

2. 本人への依頼と同意 — 掲載範囲(顔写真・実名・所属)を明示して同意を取る

3. 日程調整 — 現場の稼働を止められる時間帯を押さえる

4. 撮影・取材

5. 原稿の本人確認

この工程は、思っているより日数がかかります。 とくに2と5は本人の都合が入るため、こちらでは詰められません。撮影・取材を入れるかは、余裕があるうちに決めてください。

印刷に入ると変更が効かなくなる理由

デザインが確定すると校了となり、印刷の工程が動き始めます。校了以降は、1文字の修正でも刷り直しになります。 印刷は版を作ってから大量に刷るため、途中で内容を変えられません。「誤字1つのために全部刷り直すか、そのまま配るか」という判断を迫られます。

校了前の校正は必ず複数人の目で行ってください。とくに次の項目は指差しで確認します。

  • 数字(従業員数・初任給・年号・日付)
  • 社名・部署名・人名・肩書
  • 電話番号・メールアドレス・URL・QRコードの遷移先
  • 募集職種と応募締切・住所

QRコードは、実際にスマートフォンで読み取って遷移先を確認してください。 刷り上がってから気づく事故が最も起きやすい箇所です。紙質・サイズ・加工の選択肢は印刷のページにまとめています。

費用と期間の考え方

金額が変わる条件

「採用パンフレットはいくらか」に一言でお答えするのは難しいのが正直なところです。同じ12ページでも作業量が何倍も変わります。費用はデザイン制作にかかる分印刷にかかる分に分かれ、動く条件が違うので分けて考えてください。

金額が変わる条件
デザイン制作 ページ数/原稿を誰が書くか(社内か、取材して書くか)/撮影の有無と日数/イラスト・マンガの点数/校正のやり取りの回数
印刷 サイズ/紙質部数/印刷方式/加工(折り・綴じ・箔押しなど)

見積りで差が出やすいのは、原稿と撮影を誰が持つかです。社内で原稿を用意し写真も自社で撮るなら、その分は乗りません。「丸ごとお願いします」なら取材・執筆・撮影の工数が加わります。同じページ数でも、この前提が違えば金額はまったく変わります。 複数社から見積りを取るなら、前提をそろえてから依頼してください。

印刷まで含めるか、データ納品までか

もうひとつ差が出るのが、どこまでを頼むかです。

  • デザインデータの納品まで(印刷は自社または別会社で手配する)
  • 印刷まで
  • 印刷・納品・配送まで

自社で印刷会社と取引があるなら、データ納品までで足りることがあります。一方、紙の選び方や折り方から相談したいなら、印刷まで含めて依頼したほうが手戻りが少なくなります。 私たちの場合、デザインから印刷・折り方のご提案まで対応しています。

初心者の方向け!わかりやすいルールブックを制作させていただきました

期間の目安と、逆算すべき時期

採用は、日程が動かせません。 合同説明会、学校訪問、選考の開始日。間に合わなければ、その年は使えません。

私たちの場合、お見積りの提示は通常1〜3営業日、デザインの本制作は通常1週間から1ヶ月ほどで仕上げています(仕様と分量によります)。

ただし、採用パンフレットで期間を押し上げるのは、制作そのものではありません。 次の3つです。

1. 社内の情報が固まるまでの時間 — 募集職種、数字、制度、掲載する社員の決定

2. 撮影・取材を入れる場合の工程 — 人選、同意、日程調整、本人確認

3. 社内承認のやり取り — 関係者が多いほど往復が増えます

この3つを、制作期間とは別に見込んでください。 そのうえで印刷の日数を足します。印刷は仕様で変わり、たとえばチラシ・フライヤーは最短2営業日という条件もありますが、折りや綴じの加工が入る冊子はそれより日数を見ます。

逆算の順番は、こうなります。

配布したい日 → 納品日 → 校了日 → デザイン確定日 → ラフ承認日 → 撮影日 → 原稿の締切 → 載せる内容を社内で確定する日 → 相談開始日

使いたい時期が決まっているなら、できるだけ早くご相談ください。 何が間に合うかは、日程から逆算すれば判断できます。

よくある失敗

会社案内を流用してしまう

最も多い失敗です。表紙だけ「採用」に差し替え、中身は営業用のまま配る。会社案内に載っているのは取引先が知りたいことで、読み手が変わっても情報が変わっていない。これでは「働く自分」が想像できません。

予算の都合でどうしても1冊にする場合は、せめて「仕事の中身」と「募集要項」のページを差し込んでください。

情報を詰め込みすぎて読まれない

社内で意見を集めると、載せたいものは必ず増えます。 各部署から要望が出て、気づけば全ページが文字で埋まっている——となりがちです。

紙面の余白は、無駄ではありません。 余白があるから、読み手の目がどこを見ればよいか分かります。詰め込んだ誌面は、情報量が多いのではなくどこから読めばよいか分からない誌面になります。

読みやすい誌面の基本的な考え方は、別記事にまとめています。

デザインの4原則とは|近接・整列・反復・対比を実例で解説

配る場面を決めずに作る

「とりあえず作っておいて、あとで使い道を考える」。これも、よく起きます。

配る場面が決まっていないと、説明者がいる前提なのか、いない前提なのかが決まりません。説明会では文字が多すぎ、置いておくには情報が足りない冊子になります。

最初に決めるのは、ページ数でも予算でもなく、「誰に、どこで、どう渡すか」です。

依頼前のチェックリスト

相談する前の整理用にまとめます。すべてが決まっている必要はありません。 決まっていなくてよいことのほうが多いのです。

項目
決めておきたいこと 配布先(新卒か中途か、どんな人に渡すか)
渡す場面(説明会・学校訪問・選考中・郵送など)
おおよその部数と、何年使う冊子か
使いたい時期(動かせない予定があるか)
予算の目安
募集職種と募集人数
社員の写真・実名を載せてよいか(本人の同意)
原稿を社内で書くか、取材して書いてもらうか
社内の最終承認者は誰か
決まっていなくてよいこと ページ数と判型
構成、ページの順番
写真にするかイラストにするか
デザインの方向性・色
キャッチコピーの文言
参考にしたい他社のパンフレット(なくても進められます)

イメージが固まっていない段階でも問題ありません。「誰に、どこで渡すか」さえ決まっていれば、そこから先は一緒に組み立てられます。

まとめ

この記事の内容を振り返ります。

論点 押さえておきたいこと
会社案内との違い 読み手が「働く自分」を想像するための冊子。一人で読まれる
呼び方 採用リーフレット・入社案内・採用冊子に統一定義はない。ページ数・綴じ方・渡す相手で握る
載せる内容 事業内容・仕事の中身・数字・募集要項は必須。理念は具体例を1つ添える
構成 ページ数から決めない。読み手の関心が動く順番から決める
写真とイラスト 実在感は写真、目に見えない仕事・撮れない現場はイラスト
決めておくこと 配布先・部数・渡す場面の3つ。何年使う冊子かも先に決める
確認のヤマ場 ラフと原稿の段階。社内承認もここで通す。校了後は1文字でも刷り直し
期間 制作より、社内の情報確定・撮影・承認に日数がかかる

採用パンフレットは、デザインの良し悪しだけで決まるものではありません。誰に、どこで、何年使うために渡すのか。 ここが決まっていれば、あとは一緒に組み立てられます。

アークデザインの紙面デザイン・パンフレット制作について

私たちアークデザインは、名古屋を拠点に20年以上、企業・店舗のデザイン制作に携わってきました。もともとイラスト制作を本業としてきた会社であり、紙面にイラストやマンガを組み込む制作を多く手がけています。

デスクをはさんで担当者と向かい合い、制作について相談している様子。

紙面デザイン

パンフレット、カタログ、チラシ、ポスター、名刺、メニュー表。誰に手に取ってもらいたいかで、デザインも構成もまったく変わります。 そこを最初にうかがったうえで紙面を設計します。

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印刷

紙質、サイズ、部数、折りや綴じの加工。デザインから印刷までまとめてご相談いただけます。

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イラスト制作

似顔絵・キャラクター、オリジナルイラスト、浮世絵イラスト、書き文字。紙面に使った絵をそのまま採用サイト・説明会資料・ノベルティへ展開できるのが、イラストを本業とする会社の強みです。

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「そもそも何を作るべきか」という段階でも

採用がうまくいっていないことは分かっているけれど、パンフレットを作るべきか、採用サイトを直すべきかから迷っている。そうした段階からのご相談も承っています。

伝えたい相手、達成したいこと、これまでの経緯をおうかがいしたうえで、何を作るべきかから一緒に考えます。デザインを単発の制作物ではなく、事業の課題を解決する手段として設計する取り組みです。

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