CONTENTS
ポスターを貼ってみたけれど、お客様の反応が変わった気がしない——。
店舗を運営していると、一度は感じることだと思います。新メニューのポスターを店内に貼った。セールの告知を窓に出した。それでも、売れ行きが変わらない。
原因の多くは、デザインの良し悪しではありません。貼る場所と、その場所で果たすべき役割が噛み合っていないことにあります。
店頭のポスターと、レジ横のポスターでは、見る人の状態がまったく違います。店頭は「まだ入るか決めていない人」、レジ横は「もう買うと決めた人」。同じ作りで効くはずがありません。
この記事では、店舗ポスターを「貼る場所」から逆算して作る方法を解説します。名古屋でイラストとデザインを手がけている私たちアークデザインが、実際に制作したポスターを例にご紹介します。
店舗ポスターは「貼る場所」で作り方が変わる
まず押さえたいのは、貼る場所によって、見る人との距離も、その人の状態も違うということです。

店頭・ファサード|通行人を「止める」
店頭に貼るポスターの仕事は、通り過ぎようとしている人の足を止めること、ただ一つです。
歩いている人がポスターを見る時間は、長くて2〜3秒。しかも数メートル離れた位置からです。この条件で伝えられる情報は、多くありません。
- 何の店か(業種・商材)
- 今、何があるか(新メニュー・セール・期間)
- いくらか(価格帯の目安)
この3つに絞ってください。店頭ポスターに営業時間や細かい説明を入れても、歩いている人は読みません。
やりがちな失敗は、店内用のポスターをそのまま店頭に出すことです。文字が小さく、情報が多く、立ち止まらないと読めない。結果として誰も止まりません。
窓・ガラス面|外から読ませる
窓に貼るポスターには、店頭とは別の注意点があります。
光の向きです。日中、外から窓を見ると、ガラスは反射して中が見えにくくなります。さらに店内が暗いと、ポスターは影になって読めません。
対策は2つあります。
- 背景をしっかり塗る(白抜き文字より、濃い地に白文字のほうが外から読める)
- 裏写りを考える(両面印刷か、裏に白ベタを敷く。そうしないと店内側から見たときに裏返しの文字が透ける)
また、窓に貼ると紫外線で色があせます。赤系の色は特に飛びやすく、数か月で見た目が変わります。長く貼るなら、後述する対策が必要です。
店内|すでに入った人に「次」を促す
店内ポスターの役割は、もう入っている人に、次の行動を促すことです。
店頭と違い、お客様は立ち止まっていて、待ち時間があることも多い。ここでは情報を増やしても読まれます。
- 商品の背景やこだわり(生産者、製法、素材)
- 他のメニューやサービスの紹介
- 次回使えるクーポンやSNSの案内
席から見える位置に貼るのがコツです。券売機の上、カウンターの正面、待合の壁。「何もしていない時間」に視界に入る場所を選んでください。
レジ横・卓上|最後のひと押し
レジ横や卓上のPOP・小さなポスターは、買うと決めた人への追加提案です。
トッピング、サイズアップ、テイクアウト、次回予約。「ついでに」が成立する提案だけを置きます。ここで新規の商品説明を始めても、もう関心は会計に移っています。
サイズはA4以下で十分です。距離が近いので、大きくする必要がありません。
場所別に見る「文字の大きさ」の目安
店舗ポスターで最も多い失敗が、近くで作って、遠くで貼ることです。
パソコンの画面で見ると読みやすいのに、実際に貼ると読めない。これは、制作中の距離(50cm)と掲示後の距離(3m以上)が違うために起こります。
読ませたい距離から逆算する
おおまかな目安として、「読ませたい距離(m)× 1cm」が文字の高さと考えると外しにくくなります。
| 貼る場所 | 見られる距離 | メインコピーの文字高 |
|---|---|---|
| 店頭・ファサード | 3〜5m | 3〜5cm以上 |
| 窓・ガラス面 | 2〜3m | 2〜3cm以上 |
| 店内の壁 | 1〜2m | 1〜2cm |
| レジ横・卓上 | 30〜50cm | 1cm前後で十分 |
A1サイズ(594×841mm)のポスターなら、店頭用のメインコピーは紙の短辺の1/10以上を目安にすると、だいたい3cmを超えます。
確認のしかた
いちばん確実なのは、実寸で印刷して、実際に貼る場所から見ることです。
それが難しい場合は、画面上で原寸表示にして、3歩下がって見てください。読めなければ、貼っても読めません。
店舗ポスターのサイズの選び方
サイズは「大きいほど目立つ」で選ぶと、コストが無駄になります。貼る場所の広さと、見られる距離で決めてください。
| サイズ | 寸法 | 向いている場所 |
|---|---|---|
| B2 | 515×728mm | 店頭の看板枠、イーゼル |
| A1 | 594×841mm | 店頭、ファサード、大きく見せたいとき |
| A2 | 420×594mm | 窓、店内の壁 |
| B3 | 364×515mm | 店内、券売機まわり |
| A4 | 210×297mm | レジ横、卓上、テーブル |
迷ったときは、店頭はA1かB2、店内はA2かB3、卓上はA4から検討するとまとまります。
各サイズの詳しい比較は、ポスターデザインの法則の記事でも扱っています。
用途別の作り分け
同じ店舗ポスターでも、目的によって主役にするものが変わります。
新メニュー・期間限定|写真とシズル感を主役に
飲食店で最も効くのは、おいしそうに見えるかどうかです。

こちらは油そば専門店・歌志軒様の期間限定メニューのポスターです。
写真を中央に大きく置き、メニュー名を縦組みで大きく、価格を下にまとめています。「期間限定」の帯を右上に入れることで、今しかないことが一目で伝わります。麻辣と魯肉という聞き慣れない組み合わせも、上部の短い説明で補っています。
期間限定のポスターは、掲示期間が決まっているのが特徴です。差し替え前提なので、同じ枠・同じ体裁で作っておくと、次回以降の制作が早くなります。
セール・キャンペーン|数字を主役にする
セールのポスターでは、割引率や価格の数字がいちばん大きいのが正解です。
「全品20%OFF」なら、20の文字を最大にする。期間と対象は、その下に小さくまとめる。装飾で数字を読みにくくしないでください。
そしていつまでかを必ず入れること。期限のないセール告知は、急ぐ理由を作れません。
求人|働く人の顔と、条件を出す
人手不足が続くなか、店頭の求人ポスターは今も有効な採用手段です。特に「この店で働きたい」と思ってもらえる商圏の人に届きます。

こちらはライバー事務所Reve様の募集ポスターです。求人ポスターで外せない要素が揃っています。
- 働く人の顔——実際に働いている人の表情が、いちばん強い情報になります
- 条件を具体的な数字で——「報酬還元率100%」「月収50万円達成者多数」
- 働き方の魅力を一行で——「在宅×空いた時間で”楽しい”を仕事に」
- 応募のハードルを下げる——LINEのQRコードで、その場で応募できる
求人ポスターでやりがちな失敗は、「スタッフ募集」とだけ書いて条件を出さないことです。見た人が次に知りたいのは、時給・勤務時間・シフトの自由度です。それが書かれていないと、問い合わせる手間が発生し、そこで止まります。
紙の求人媒体としては、ポスターのほかにポスティング用のチラシもあります。採用全般の考え方は、採用パンフレットの作り方でも解説しています。
ブランドを伝える|余白で見せる
売り込みではなく、商品やお店の世界観を伝えたい場合は、逆に情報を削ります。

おりがみ農園様のミニトマト「月のトマト」のポスターです。画面の大半が余白(夜空)で、文字情報はごくわずかです。
商品名、キャッチコピー、「6600本から14本」という希少性を示す数字、そしてQRコード。それだけです。情報を減らすことで、一つひとつが強くなっています。
高価格帯の商品、ギフト、こだわりを伝えたい商材では、この方向が効きます。賑やかにすればいいわけではないことが、よく分かる例だと思います。
屋外・長期掲示で気をつけること
店頭や窓に長く貼るポスターには、室内用とは別の配慮が要ります。
色あせ・雨・風
紙のポスターを屋外に貼ると、早ければ1か月ほどで色が変わります。直射日光が当たる面では特に顕著で、赤やピンクから先に飛んでいきます。
雨がかかる場所では、紙が波打ち、最後は破れます。「作ったばかりのときはきれいだったのに」という状態は、お店の印象にそのまま跳ね返ります。
対策としては、次のような選択肢があります。
- ラミネート加工——表面にフィルムを貼る。水濡れと擦れに強くなる
- 耐候性のあるインク・用紙を使う——屋外掲示を前提とした仕様にする
- 短いサイクルで貼り替える前提にする——期間限定の告知ならこれで十分
ターポリンという選択肢
長期間・大きなサイズ・屋外という条件が重なるなら、紙ではなくターポリンが適しています。
ターポリンは、ビニール系の丈夫な素材で作る掲示物です。横断幕や工事現場の幕に使われているものと同じで、雨風に強く、大きなサイズでも扱えます。ハトメ(金具の穴)を付ければ、紐で柵やフェンスに固定できます。
店舗であれば、駐車場のフェンス、建物の外壁、屋外イベントの背面などで使います。紙より初期費用はかかりますが、貼り替えの手間と枚数を考えると、長期掲示では結果的に安くなることが多いです。
制作の流れと費用の目安
制作の流れ
1. 目的と掲示場所を決める(どこに貼るか、いつまで貼るか)
2. サイズと用紙・加工を決める(屋外か室内か、期間はどれくらいか)
3. 原稿を整理する(載せる情報、写真の有無、価格や期間)
4. デザイン制作・確認
5. 印刷・加工・納品
最初の工程がいちばん大事です。「A1で1枚」とだけ決めて進めると、後から「屋外だった」「1年貼る」と分かって作り直しになります。
費用の目安
| 費目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| デザイン費 | 原稿整理からデザイン制作まで | 3万〜10万円程度 |
| 写真撮影費 | 商品や店舗を新規で撮影する場合 | 3万〜8万円程度 |
| 印刷費 | サイズ・枚数・用紙による | 数千円〜 |
| ラミネート・加工費 | 屋外掲示や長期掲示の場合 | 用紙代に加算 |
少枚数のポスターは、印刷費よりデザイン費が中心になります。逆に何百枚と刷る場合は、印刷費の比率が上がります。
費用を抑えるコツは、シリーズでまとめて依頼することです。季節ごとに4枚作る予定があるなら、最初にフォーマットを決めて4枚分をまとめたほうが、1枚あたりは下がります。
名古屋・東海で店舗ポスターを作るなら
私たちアークデザインは、名古屋でイラストとデザインを手がけている会社です。店舗のポスターを数多く制作してきました。
イラスト・書文字を自社で描けます
写真だけでは出せない雰囲気を作りたいとき、社内にイラストレーターがいることが効いてきます。
先にご紹介した歌志軒様のポスターでは、ロゴに書文字を使っています。月のトマトでは、トマトのキャラクターを描き起こしました。外部に発注せず社内で完結するため、打ち合わせの場で方向性を詰められます。
イラストの制作についてはイラスト制作のページをご覧ください。
ポスターだけでなく、店舗まわり一式に対応できます
ポスターが良くても、メニュー表や看板がちぐはぐでは、店全体の印象は揃いません。
私たちはデザインから印刷まで一括で対応できます。ポスター、メニュー、のぼり、看板、ショップカード、パッケージまで、窓口を分けずに進められます。
商品のパッケージについてはパッケージデザインの記事、お店のロゴについては会社のロゴの記事でも解説しています。
近いから、現物で確認できます
ポスターは、刷り上がりの色と、実際に貼ったときの見え方が勝負です。画面で見た色と、印刷した色は違います。
名古屋・東海エリアであれば、試作を持ってお伺いすることも、お店で一緒に確認することもできます。「思っていたより暗かった」「この位置だと読みにくい」を、その場で直せます。
まとめ
店舗ポスターは、貼る場所から逆算して作るのが基本です。
- 店頭は通行人を止める。情報は3つまで、文字は3〜5cm以上
- 窓は外から読ませる。反射・裏写り・色あせに注意
- 店内は次の行動を促す。情報を増やしても読まれる
- レジ横は最後のひと押し。A4で十分
- 用途で主役が変わる。新メニューは写真、セールは数字、求人は人の顔と条件
- 屋外・長期ならラミネートかターポリン
- 費用はデザイン費が中心。シリーズでまとめると下がる
そして、作る前に決めておくべきことは「どこに、いつまで貼るか」です。ここが決まっていれば、サイズも用紙も加工も自然に決まります。
店舗ポスターのご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。デザインの法則そのものについては、見やすいポスターデザインの法則もあわせてご覧ください。