ポスターを貼ってみたけれど、お客様の反応が変わった気がしない——。

店舗を運営していると、一度は感じることだと思います。新メニューのポスターを店内に貼った。セールの告知を窓に出した。それでも、売れ行きが変わらない。

原因の多くは、デザインの良し悪しではありません。貼る場所と、その場所で果たすべき役割が噛み合っていないことにあります。

店頭のポスターと、レジ横のポスターでは、見る人の状態がまったく違います。店頭は「まだ入るか決めていない人」、レジ横は「もう買うと決めた人」。同じ作りで効くはずがありません。

この記事では、店舗ポスターを「貼る場所」から逆算して作る方法を解説します。名古屋でイラストとデザインを手がけている私たちアークデザインが、実際に制作したポスターを例にご紹介します。

店舗ポスターは「貼る場所」で作り方が変わる

まず押さえたいのは、貼る場所によって、見る人との距離も、その人の状態も違うということです。

店舗ポスターを貼る場所別の役割と見られる距離。店頭は3〜5mで文字3〜5cm以上・情報は3つまで、窓は2〜3m、店内の壁は1〜2mで情報を増やしてよい、レジ横は30〜50cmでA4で十分

店頭・ファサード|通行人を「止める」

店頭に貼るポスターの仕事は、通り過ぎようとしている人の足を止めること、ただ一つです。

歩いている人がポスターを見る時間は、長くて2〜3秒。しかも数メートル離れた位置からです。この条件で伝えられる情報は、多くありません。

  • 何の店か(業種・商材)
  • 今、何があるか(新メニュー・セール・期間)
  • いくらか(価格帯の目安)

この3つに絞ってください。店頭ポスターに営業時間や細かい説明を入れても、歩いている人は読みません。

やりがちな失敗は、店内用のポスターをそのまま店頭に出すことです。文字が小さく、情報が多く、立ち止まらないと読めない。結果として誰も止まりません。

窓・ガラス面|外から読ませる

窓に貼るポスターには、店頭とは別の注意点があります。

光の向きです。日中、外から窓を見ると、ガラスは反射して中が見えにくくなります。さらに店内が暗いと、ポスターは影になって読めません。

対策は2つあります。

  • 背景をしっかり塗る(白抜き文字より、濃い地に白文字のほうが外から読める)
  • 裏写りを考える(両面印刷か、裏に白ベタを敷く。そうしないと店内側から見たときに裏返しの文字が透ける)

また、窓に貼ると紫外線で色があせます。赤系の色は特に飛びやすく、数か月で見た目が変わります。長く貼るなら、後述する対策が必要です。

店内|すでに入った人に「次」を促す

店内ポスターの役割は、もう入っている人に、次の行動を促すことです。

店頭と違い、お客様は立ち止まっていて、待ち時間があることも多い。ここでは情報を増やしても読まれます

  • 商品の背景やこだわり(生産者、製法、素材)
  • 他のメニューやサービスの紹介
  • 次回使えるクーポンやSNSの案内

席から見える位置に貼るのがコツです。券売機の上、カウンターの正面、待合の壁。「何もしていない時間」に視界に入る場所を選んでください。

レジ横・卓上|最後のひと押し

レジ横や卓上のPOP・小さなポスターは、買うと決めた人への追加提案です。

トッピング、サイズアップ、テイクアウト、次回予約。「ついでに」が成立する提案だけを置きます。ここで新規の商品説明を始めても、もう関心は会計に移っています。

サイズはA4以下で十分です。距離が近いので、大きくする必要がありません。

場所別に見る「文字の大きさ」の目安

店舗ポスターで最も多い失敗が、近くで作って、遠くで貼ることです。

パソコンの画面で見ると読みやすいのに、実際に貼ると読めない。これは、制作中の距離(50cm)と掲示後の距離(3m以上)が違うために起こります。

読ませたい距離から逆算する

おおまかな目安として、「読ませたい距離(m)× 1cm」が文字の高さと考えると外しにくくなります。

貼る場所 見られる距離 メインコピーの文字高
店頭・ファサード 3〜5m 3〜5cm以上
窓・ガラス面 2〜3m 2〜3cm以上
店内の壁 1〜2m 1〜2cm
レジ横・卓上 30〜50cm 1cm前後で十分

A1サイズ(594×841mm)のポスターなら、店頭用のメインコピーは紙の短辺の1/10以上を目安にすると、だいたい3cmを超えます。

確認のしかた

いちばん確実なのは、実寸で印刷して、実際に貼る場所から見ることです。

それが難しい場合は、画面上で原寸表示にして、3歩下がって見てください。読めなければ、貼っても読めません。

店舗ポスターのサイズの選び方

サイズは「大きいほど目立つ」で選ぶと、コストが無駄になります。貼る場所の広さと、見られる距離で決めてください。

サイズ 寸法 向いている場所
B2 515×728mm 店頭の看板枠、イーゼル
A1 594×841mm 店頭、ファサード、大きく見せたいとき
A2 420×594mm 窓、店内の壁
B3 364×515mm 店内、券売機まわり
A4 210×297mm レジ横、卓上、テーブル

迷ったときは、店頭はA1かB2、店内はA2かB3、卓上はA4から検討するとまとまります。

各サイズの詳しい比較は、ポスターデザインの法則の記事でも扱っています。

用途別の作り分け

同じ店舗ポスターでも、目的によって主役にするものが変わります。

新メニュー・期間限定|写真とシズル感を主役に

飲食店で最も効くのは、おいしそうに見えるかどうかです。

アークデザインが制作した油そば専門店・歌志軒様の期間限定メニュー「マーロー油そば」のポスター。赤と金の配色で、写真を中央に大きく配置し、メニュー名を縦組みで見せ、価格を下部にまとめている

こちらは油そば専門店・歌志軒様の期間限定メニューのポスターです。

写真を中央に大きく置き、メニュー名を縦組みで大きく、価格を下にまとめています。「期間限定」の帯を右上に入れることで、今しかないことが一目で伝わります。麻辣と魯肉という聞き慣れない組み合わせも、上部の短い説明で補っています。

期間限定のポスターは、掲示期間が決まっているのが特徴です。差し替え前提なので、同じ枠・同じ体裁で作っておくと、次回以降の制作が早くなります。

セール・キャンペーン|数字を主役にする

セールのポスターでは、割引率や価格の数字がいちばん大きいのが正解です。

「全品20%OFF」なら、20の文字を最大にする。期間と対象は、その下に小さくまとめる。装飾で数字を読みにくくしないでください。

そしていつまでかを必ず入れること。期限のないセール告知は、急ぐ理由を作れません。

求人|働く人の顔と、条件を出す

人手不足が続くなか、店頭の求人ポスターは今も有効な採用手段です。特に「この店で働きたい」と思ってもらえる商圏の人に届きます。

アークデザインが制作したライバー事務所Reve様の募集ポスター。働く人の笑顔の写真と「ライバー募集!」の大きな文字、報酬還元率100%などの条件、応募用のQRコードを載せている

こちらはライバー事務所Reve様の募集ポスターです。求人ポスターで外せない要素が揃っています。

  • 働く人の顔——実際に働いている人の表情が、いちばん強い情報になります
  • 条件を具体的な数字で——「報酬還元率100%」「月収50万円達成者多数」
  • 働き方の魅力を一行で——「在宅×空いた時間で”楽しい”を仕事に」
  • 応募のハードルを下げる——LINEのQRコードで、その場で応募できる

求人ポスターでやりがちな失敗は、「スタッフ募集」とだけ書いて条件を出さないことです。見た人が次に知りたいのは、時給・勤務時間・シフトの自由度です。それが書かれていないと、問い合わせる手間が発生し、そこで止まります。

紙の求人媒体としては、ポスターのほかにポスティング用のチラシもあります。採用全般の考え方は、採用パンフレットの作り方でも解説しています。

ブランドを伝える|余白で見せる

売り込みではなく、商品やお店の世界観を伝えたい場合は、逆に情報を削ります。

アークデザインが制作したおりがみ農園様のミニトマト「月のトマト」のポスター。夜空を背景にした余白の多いデザインで、トマトのキャラクターと商品名、6600本から14本という希少性を示す数字を載せている

おりがみ農園様のミニトマト「月のトマト」のポスターです。画面の大半が余白(夜空)で、文字情報はごくわずかです。

商品名、キャッチコピー、「6600本から14本」という希少性を示す数字、そしてQRコード。それだけです。情報を減らすことで、一つひとつが強くなっています。

高価格帯の商品、ギフト、こだわりを伝えたい商材では、この方向が効きます。賑やかにすればいいわけではないことが、よく分かる例だと思います。

屋外・長期掲示で気をつけること

店頭や窓に長く貼るポスターには、室内用とは別の配慮が要ります。

色あせ・雨・風

紙のポスターを屋外に貼ると、早ければ1か月ほどで色が変わります。直射日光が当たる面では特に顕著で、赤やピンクから先に飛んでいきます。

雨がかかる場所では、紙が波打ち、最後は破れます。「作ったばかりのときはきれいだったのに」という状態は、お店の印象にそのまま跳ね返ります。

対策としては、次のような選択肢があります。

  • ラミネート加工——表面にフィルムを貼る。水濡れと擦れに強くなる
  • 耐候性のあるインク・用紙を使う——屋外掲示を前提とした仕様にする
  • 短いサイクルで貼り替える前提にする——期間限定の告知ならこれで十分

ターポリンという選択肢

長期間・大きなサイズ・屋外という条件が重なるなら、紙ではなくターポリンが適しています。

ターポリンは、ビニール系の丈夫な素材で作る掲示物です。横断幕や工事現場の幕に使われているものと同じで、雨風に強く、大きなサイズでも扱えます。ハトメ(金具の穴)を付ければ、紐で柵やフェンスに固定できます。

店舗であれば、駐車場のフェンス、建物の外壁、屋外イベントの背面などで使います。紙より初期費用はかかりますが、貼り替えの手間と枚数を考えると、長期掲示では結果的に安くなることが多いです。

制作の流れと費用の目安

制作の流れ

1. 目的と掲示場所を決める(どこに貼るか、いつまで貼るか)

2. サイズと用紙・加工を決める(屋外か室内か、期間はどれくらいか)

3. 原稿を整理する(載せる情報、写真の有無、価格や期間)

4. デザイン制作・確認

5. 印刷・加工・納品

最初の工程がいちばん大事です。「A1で1枚」とだけ決めて進めると、後から「屋外だった」「1年貼る」と分かって作り直しになります。

費用の目安

費目 内容 目安
デザイン費 原稿整理からデザイン制作まで 3万〜10万円程度
写真撮影費 商品や店舗を新規で撮影する場合 3万〜8万円程度
印刷費 サイズ・枚数・用紙による 数千円〜
ラミネート・加工費 屋外掲示や長期掲示の場合 用紙代に加算

少枚数のポスターは、印刷費よりデザイン費が中心になります。逆に何百枚と刷る場合は、印刷費の比率が上がります。

費用を抑えるコツは、シリーズでまとめて依頼することです。季節ごとに4枚作る予定があるなら、最初にフォーマットを決めて4枚分をまとめたほうが、1枚あたりは下がります。

名古屋・東海で店舗ポスターを作るなら

私たちアークデザインは、名古屋でイラストとデザインを手がけている会社です。店舗のポスターを数多く制作してきました。

イラスト・書文字を自社で描けます

写真だけでは出せない雰囲気を作りたいとき、社内にイラストレーターがいることが効いてきます。

先にご紹介した歌志軒様のポスターでは、ロゴに書文字を使っています。月のトマトでは、トマトのキャラクターを描き起こしました。外部に発注せず社内で完結するため、打ち合わせの場で方向性を詰められます。

イラストの制作についてはイラスト制作のページをご覧ください。

ポスターだけでなく、店舗まわり一式に対応できます

ポスターが良くても、メニュー表や看板がちぐはぐでは、店全体の印象は揃いません。

私たちはデザインから印刷まで一括で対応できます。ポスター、メニュー、のぼり、看板、ショップカード、パッケージまで、窓口を分けずに進められます。

商品のパッケージについてはパッケージデザインの記事、お店のロゴについては会社のロゴの記事でも解説しています。

近いから、現物で確認できます

ポスターは、刷り上がりの色と、実際に貼ったときの見え方が勝負です。画面で見た色と、印刷した色は違います。

名古屋・東海エリアであれば、試作を持ってお伺いすることも、お店で一緒に確認することもできます。「思っていたより暗かった」「この位置だと読みにくい」を、その場で直せます。

まとめ

店舗ポスターは、貼る場所から逆算して作るのが基本です。

  • 店頭は通行人を止める。情報は3つまで、文字は3〜5cm以上
  • は外から読ませる。反射・裏写り・色あせに注意
  • 店内は次の行動を促す。情報を増やしても読まれる
  • レジ横は最後のひと押し。A4で十分
  • 用途で主役が変わる。新メニューは写真、セールは数字、求人は人の顔と条件
  • 屋外・長期ならラミネートかターポリン
  • 費用はデザイン費が中心。シリーズでまとめると下がる

そして、作る前に決めておくべきことは「どこに、いつまで貼るか」です。ここが決まっていれば、サイズも用紙も加工も自然に決まります。

店舗ポスターのご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。デザインの法則そのものについては、見やすいポスターデザインの法則もあわせてご覧ください。